オーストラリア流アロマセラピー
〜 環境を本気で考える、クリニカル・アロマセラピー、ナチュラル・セラピー
こんにちは。
オーストラリアや日本ではコロナ状況がひと段落しそうですが、油断は禁物。未知のウイルスですから、日常生活では手洗いを徹底して予防に努めることが最重要です。
さて世間では自然療法をはじめとした様々な療法が、コロナ治療に効くのではないかという憶測がSNSなどで拡散されています。それはどこかで見聞きしたり、販売戦略の一部であったりと多様です。私がブログでどの精油がコロナに良いかについて書かないのは当然の理由があります。アロマセラピーは補完医療の一部でありアロマセラピストは医師ではありません。必然的に○○を食べるとコロナ予防になるとか、○○がコロナウイルスを破壊するなどの発言もできなければ、根拠のない理由をつけて「○○精油がコロナを治す」などという主張もできません。
免疫力向上という点ではお勧めできる精油もありますが、免疫力向上はコロナ治療とかワクチンレベルの防御を約束するものではないのです。それは当然のことで、ロバート・ティスランド氏(有資格のアロマセラピストなら、一度はティスランド氏が執筆した本やワークショップにお世話になるほど、精油の安全性で著名な方です。世界で初めて英語でアロマセラピーの本を出版したことでも有名です)も今年3月18日の記事で「現時点では、どんなアロマセラピーの処方もCOVID-19の予防や治療を提案することはできない」と断言しています。
しかし、悲しいことにコロナウイルス流行以前から精油に関して根拠のない主張をする団体や人が後を断ちません。最悪の事態では、その主張を信じて精油を内服し救急車で搬送されるなど、アロマセラピーの信用度が下がるような事件もあります。
読者の皆様に何か良い伝え方ができればと模索していた先週、いつも購読しているティスランド氏のニュースレターを素晴らしいタイミングで受け取りしました。内容はもちろん、「Covid-19と根拠のない主張」
その記事は英語でかなりの量がありましたので、要点をかい摘んで説明しますね。
ティスランド氏は、ウィキペディアに「根拠のないCOVID-19への対処法リスト」があると紹介しています。様々なカテゴリーに分けてリストアップされており、手洗いに関しての迷信やハーブ、食品、麻薬、そして宗教と魔術による方法まで!笑えるものもあるので、一部をご紹介しましょう。
– 呼吸を止めて10数えることは、コロナ感染の効果的な自主検査
– 自家製ハンドサニタイザー(ラム酒、漂白剤、衣料柔軟剤を混ぜたもの)が大変効果的(フィリピンでYouTubeから拡散)
– 大麻はコロナウイルス予防にいい(スリランカで大麻合法の署名運動と共にYouTubeに掲載)
– キク科の植物を使用したハーバル飲料は、コロナウイルスの奇跡的治療と予防ができる(マダガスカル大統領。この飲料は他のアフリカ諸国へ輸出された)
– コロナウイルス予防と治癒のための “スピリチュアル・ワクチン”を販売。また、免疫力を向上させるというDVDなどを販売(幸福の科学。のちにニューヨークのテンプルは閉鎖された)
– 牛の尿を飲んだり、糞を体に塗るとコロナ菌への対策ができる。牛はインド産に限る(インドの政治家)
– 玉ねぎはコロナウイルス予防に良い(Facebook)
– ベジタリアンはコロナウイルスへの免疫力がある(インド)
そして精油での主張は、「ブラジルで拡散されている治療法でアボカドとミント・ティー、温かいウイスキーと蜂蜜、精油、ビタミンCとD」だそうです。苦笑しました。
でもこれらを本当に信じてしまい、感染してしまった方々もいることでしょう。命に関わりますので、絶対にあってはならないことです。
このような根拠のない主張をアロマセラピスト含め、自然療法のプラクティショナー、精油の販売会社などがしたらどうなるでしょうか?ティスランド氏はこう懸念しています(抜粋)。
私は、アロマセラピーが「いんちき薬」の領域から脱出し、実行可能なモダリティとして確立されることが重要であると常に信じてきました。 確立された臨床的根拠のない精油の主張がなされている場合、このプロセスには本当に役に立ちません。これは現在のパンデミックで強調されています。 精油の使用は一つの方法ですが、実行可能な治療法があると主張することはまったく別です。
精油のプラクティショナー、製造業者、販売者のいずれであっても、根拠のない医学的主張を行うと、起訴の危険にさらされる可能性があります。または、ソーシャルメディアへの投稿が停止される可能性があります。 これは、あなたが世界のどこに住んでいるかに一部依存しますが、精油を販売し、COVID-19の扱いについて根拠のない主張をすると、あなたをたいへんな危険にさらします。
それぞれの国には、例えば日本では薬機法、オーストラリアではTGAがあるように医薬品などの効果効能に関する主張に制限があります。国によりそのレベルは異なりますが、共通しているのは「根拠のない主張はできない」ということ。
残念ながら、その主張をして各国の機関から警告の手紙を受け取った精油販売業がありました。これはコロナウイルスの流行に始まったことではなく、以前から様々な健康状態への主張がなされてきました。その都度裁判になったり、警告があったり。
長いブログになりそうですので、今日はこの辺で。
次回はその警告の内容と「根拠のない主張」をしてしまった業者について、ティスランド氏の記事を元にお伝えしたいと思います。
今日も読んでくださって、ありがとうございました。
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